今回は,調布市の創業支援オフィス「スモールオフィス」を利用されて,現在は市内で「株式会社ブリッジ」(以降ブリッジと略します)という求人広告会社を営まれている小野寺一憲さんにお話を伺いました。
「ブリッジ」の事業内容を教えてください。
我が社の事業には3つの大きな柱があります。
1つ目は、メディア事業。自社の独自サービスである「入寮.com」という寮を持つ会社に特化した国内初の入寮比較・求人サイトの開発・運営です。
2つ目は,求人広告代理店事業。全国各地のあらゆる求人媒体を駆使しながら、お客様の採用課題を解決致します。
3つ目としては,クリエイティブ事業。ホームページ制作・企業ロゴ作成・キャラクターデザイン・名刺やパンフレットの作成・WEBバナー作成etcを承っています。
「ブリッジ」を始められたきっかけは?
学生時代から,アルバイトとして出版社で,雑誌の取材や編集企画をやっていまし
た。
そのなかで多種多様な仕事が見える求人広告の仕事がしたいなという気持ちが膨らみ,大学卒業後は新卒で大手求人広告会社に入社しました。
その会社では13年ほど勤め,管理職をしていましたが,ある時人事異動で新規開拓営業としてゼロからのスタートを言い渡されました。これまで培ってきた広告マンとしてのプライドと,初心に戻って販路を新規開拓するというチャレンジしたい気持ちの中で,非常に悩みました。
そんなとき,会社を独立した先輩に出会いました。「俺の会社で一緒に事業拡大を手伝ってくれ!」と言われて,「どうせゼロからやるのであれば,新しい会社へ移ってやろう!!」と思って,求人広告会社を辞めました。
新しい会社では3年間バリバリ働いていました。そんな時に東日本大震災に遭いました。あの日は千葉県のオフィスから調布の自宅に帰ることができませんでした。震災を体験して「家に帰ることができない」ことの不便さ,心細さを痛感し,「職住近接※」を実現したいという思いが強くなりました。そして,自分でビジョンを実現させようと独立に踏み切りました。
※職場と家庭生活を営む住居とが近接していること。
調布で創業した理由は?
私は調布が地元です。調布は都心にも近く,緑も多く魅力ある町です。震災の時にも実感しましたが,調布は地域の繋がりが未だに色濃く残っています。この生れ育った町に,自分のこれまでのキャリアを還元できないかと思ったのです。
求人広告の分野では,都心周辺部や地方で地元の人を採用するのは元来難しいと言われてきました。
ですが,都心周辺部や地方の人材には地元ならではの強みがあります。エリアの特性がわかっていたり,地域に対する愛情があったり。
我が社は現地採用を積極的に進め,東京本社(調布市)と神奈川支社の社員のほとんどが現地採用です。そういうスタイルの雇用形態もあることを広めていきたいのです。
スモールオフィスを利用した感想は?
国領駅徒歩1分の立地,オフィス以外に応接間等が気軽に使え,家賃も場所を考えると低く,環境がとても良かったです。調布市との接点ができたのも良かったです。
一番ありがたかったのは,周りの方の優しさです。創業期に産業労働支援センターの皆さんが私にも弊社のスタッフにもすごく声をかけてくれたことは,今でも励みになっています。
また,同時期にスモールオフィスに入っていた企業さんから,最近求人の相談がありました。
その企業が大きくなり始め,求人を考えたときに,「同時期にスモールオフィスを利用していた仲間」という意識を抱き,お声掛けをいただいたようです。そんな繋がりが出来たことも良かったと思います。
目指している企業像は?
「ブリッジ」の経営理念は『つなぐことで新たな出会いと価値を生みだす』です。
今は,求人という形で人材と企業を繋いでいます。ただ,事業内容は求人に固執することなく,柔軟に事業を変化させていければ良いと思っています。
我が社では,まだ繋がっていないところを繋げられるサービスを見つけ,どんどんサービスを提供していきたいと思っています。
コミュニティやプラットフォーム作りも含めた,人と人をつなぐ情報インフラを整備し,雇用の拡大や地域の活性化に繋がればと思います。
日本全国を見ても,労働力のIターンやUターン,過疎化の問題があり,日本人労働力の減少によるアジア圏からの労働者をどのように受け入れるかという問題もあります。
私はこれらの問題を解決するサービス基盤を調布で作り,世界に提供していきたいと考えています。
これから創業する人に対して,一言
会社としてのビジョンは明確に持たなければいけないと思います。
創業というのはリスクを背負います。
せっかくリスクを背負ってスタートするのであれば,自分が理想とする会社や社会の実現に向けて,思いっきり進んでほしいです。
「今までこうだったから」という前例を踏襲する必要は全くありません。
これからは常識に従って生きていける時代ではないと思うので,一国一城の主として自己実現してもらいたいです。
最後に
「情熱というか,心が入らないと,良い仕事にならないですよ。」
インタビューのご協力、ありがとうございました。
株式会社ブリッジhttp://www.bridge-navi.com